花嫁に読むラブレター

 離れた手に、秋の冷たくなりはじめた風が撫でていき、汗を冷やしていく。

 マイアが階段を昇り始めると、背中に感じていたユンの気配も少しずつ離れていくのがわかった。ゆっくりと足を進め、石段の途中で止まり、振り返った。

 ユンも突然振り返り、目が合う。驚いたように目を丸くし、続いてにっこり照れ笑いを浮かべるユン。マイアは声に出さず、「またね」と口の動きだけで言った。

 動きが見えたのだろうか。ユンも同じように、口を動かしたのだ。
 マイアは恥ずかしくなって急いで階段を駆け上った。
 途中、視線を感じて立ち止まる。

 小屋の傍らに、佇んでじっと自分を見下ろしている影を見つけてぎくりとした。


 背の高い、黒髪のステイル。


 ステイルは、マイアが自分を見つけたのを知ると、何も言わず背を向けた。風がステイルの髪を揺らし、夕日がステイルの影を地面に落とす。

 目は、何を思っているのかわからない、人形が虚を見つめるようだった。
 何も悪いことはしていない。

 なのに、今までで一番重い石を胸に落とされたような罪悪感が、襲った。
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