花嫁に読むラブレター

 ステイルは、いつもの調子で表情に感情をのせず、マイアの隣に腰をおろした。ちょうどお風呂上りなのだろう、ふわりと石鹸の香りが漂う。濡れた黒髪が、マイアをそわそわさせる。女である自分よりも、劣情をそそるその容姿を羨むと同時に、悔しくもあった。けれど、ステイルが色っぽいという事実は、どう頑張っても否定できない。

「なに?」

 そんな、女であるがゆえの不満を隠しきれないまま、少しぶっきらぼうに返事をする。

「これ、マイアにあげるよ」

 ごそごそと、自分のポケットをまさぐるステイル。
 そして差し出されたものは、小さな箱だった。

 真っ白な立派な箱。手のひらに納まってしまうほど小さな箱だというのに、とても大きなものを見ているような気分になる。飾りつけもない、簡素な箱だがひと目でそれが高価なものだとわかった。

 きっと一生手にすることなどできない、と思っていたもの。

「え……。どうしたの、これ」

 ステイルは、戸惑うマイアの手を強引にひったくり、なかなか受け取ろうとしないその手に箱をのせた。
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