花嫁に読むラブレター
「……うん、ステイル、開けるね」
ステイルが頷いたのを見届けると、マイアは震える指で箱の蓋にそっと触れた。
(……誕生日? 誕生日って……わたしの誕生日は夏よ。ちょっとすぎたどころじゃないわよ)
普段ならば、不満をそのままステイルに怒鳴りちらかしていたマイアだが、今日ばかりはできなかった。
たとえ自分の誕生日が夏で、今はすでに冬を迎えて、外の景色は雪に覆われていたとしても、だ。
マイアは、ゆっくり蓋をもちあげ、中を覗いて言葉を失った。
どういった言葉でお礼を告げようか。色々と頭の中に浮かんでいた言葉も一瞬にして消えた。ぽかんと開いたままの口から、感情がすべり落ちてしまったかのようだった。
「こりゃ見事なもんだ。あたしもあと少し若ければブラウンにねだるんだけどねえ」
そういって笑うマリーおばさんの声も、遠くで聞いていたブラウンおじさんの咳払いも、どこかずっと遠くから聞こえてくるみたいだ。一枚の壁をはさんだ、向こう側の声のようにかすむ。