花嫁に読むラブレター
遠まわしに、結婚を勧められている気がしたのだ。依存だろうが、勘違いだろうが、今マイアがまぎれもなく好きだと断言できるのは、ステイルなのに。
夜の冷たい空気にも負けないほどの寒々しさが、マイアを襲った。なんと惨めな気持ちだろう。
「それよりさ、マイア」
マイアは答えず、視線だけをかろうじて上げた。
「首飾り。本当に迷惑じゃなかった?」
はっと思い出して、握りしめていた首飾りを見ると、うっすら雪が積もっていた。慌てて身に引き寄せ雪を払う。暗い空の下でも、きらきらと輝いている。
マイアは力強く首を横に振った。
「全然迷惑じゃないよ……」
迷惑になるものか。きっと、生きてきた中で、一番に嬉しかった出来事になる。これから先、たくさん嬉しいことも増えていくだろうけど、それだけは変わらない、とマイアは思った。
「そう。ならよかった」
初めて聞くような、ステイルの穏やかな声音に、マイアは顔を上げた。
ステイルと目が合う。ふっとステイルの大きな瞳が細められ、微笑んだ。
滅多に見せてくれない笑顔は、とても嬉しいはずなのに、マイアはなぜか泣きたくなった。視線をそらし、俯きながら「ありがとう」と呟いた声は、雪に解けて消えてしまいそうなほど小さかった。