花嫁に読むラブレター

 動物の匂いがする外套を着て、厚手の手袋をはめたままいつもの鞄を背負う。マリーおばさんに一言だけ「言ってくるわ」と告げると、振り返らず家を出た。背後から「気をつけるんだよ」というマリーおばさんの声が追ってきた。

 今日も雪が降っている。

 ここ数日、毎日のように雪が地面を覆っている。息を吐くと、白い煙と一緒にきらきらと雪の粉も一緒に舞う。太陽は雲の奥に隠れてしまって、ここ最近見かけていない。

 マイアは一歩ずつ慎重に進む。足が雪に沈み、そのまま体が地面に倒れてしまいそうになるのを必死にこらえながら、拳を握りしめて歩いた。

 丘から続いている階段を下りた頃、ようやく除雪された歩道が姿を現しマイアは静かに息を吐いた。

 うっすらと車輪の跡が残る道を歩き、歩道の両側に除雪された山のような雪をぼんやり眺めていると、ずっと先のほう、針葉樹が密生しているところ、木と木の隙間に隠れるようにしてユンが立っているのき気づいた。

 マイアは急ぎ足でユンのもとに向かう。すると、気配に気づいたユンが顔を上げ、表情にぱっと光がさす。ユンがマイアに駆け寄ろうとした瞬間、背中をあずけていた木の上のほうから、雪の塊が落ちてきて、ユンの頭に見事直撃した。

 何が起こったのかわからないというように、茫然と佇んだユンを見てマイアは自然と頬を綻ばせた。
< 63 / 227 >

この作品をシェア

pagetop