ショコラ SideStory
「どの人?」
「これ」
隆二くんの指は、私が取材で撮影した松山くんを指している。
なによ、知り合いなの?
「知り合い?」
「ちわー、親父ー」
私の問いかけと同時にお店の扉が開く。
そして入ってきた人物を見て固まってしまった。
だって、そこに現れたのは写真の彼だ。
「おお、いいタイミングだな。おいマツ。なんだこの写真。お前凄い格好つけて写ってるじゃないか」
「え? 写真って。あ、あれ? この間の」
松山くんは、私を指さして口を丸く開ける。
「あ、そうか。誰かに似てるって思ってたら、そうだ。詩子ちゃんだ」
そう納得したように頷く。
「なんだ、知り合いか?」
「知り合いってか、まさにその雑誌の取材で会ったんですよ。
そっか、苗字が違うから気づかなかった。今改めてみれば詩子ちゃんと同じ顔ですよね」
「詩子とも……知り合い?」
一体どういう繋がり?
私の頭の上にはハテナマークが一杯。
マツくんとやらはそれを感じ取ったのか、にっこり笑って握手を求める。