ショコラ SideStory
「俺も親父は尊敬してます。本当凄いと思う、男としても」
「男としても……ねぇ。女的には多分、隆二くんみたいなヘタレより、あなたのほうが人気あるわよ」
本気でそう思うけど、こんないい男から尊敬される隆二くんもやっぱり大したものなのかしら。
「いや、俺は全然人気ないですよ。本当、モテないし。しかも親父はヘタレじゃありませんよ」
「だとしたら陰で騒がれてんのよ。もしくはあなたが麻由ちゃんに夢中になりすぎてて周りが見えてないか……ね」
ヘタレじゃない発言は議論になると横道にそれそうなのでとりあえずシカトして。
少しくらい仕返ししておくつもりでそう言ってみたんだけど。
「麻由に夢中になりすぎて……それは認める、かも」
嬉しそうにアッサリと肯定されて、思わず顔がほころんじゃう。
ほら、そういうところがあなたはいい男よ。
私も隆二くんにそんな風に言われたいの。
「でしょ。ふふ。よく出来ました。敬意を込めて私も認めるわ。ヘタレなとこも含めて隆二くんが好きよ」
「結局、そこに辿りつくんですよね。麻由といると世界が変わります本当」
「いいわね。でも老婆心ながら忠告すると、それはいい方に変わるばかりでも無いから。一番いい時にちゃんと捕まえておきなさいよ。結婚式には呼んでね?」