ショコラ SideStory
真っ赤になったあたしは、物音を立てないように風呂場まで直行。
そうして、低めの温度のシャワーを頭からかぶる。
一気にほてった体をとにかく冷ましたかった。
そりゃ、再婚したばっかりなんだから盛り上がってるのも分かるけど。
いやでも、親のそういうのは見たくないし聞きたくも無いわー!!
大体、あの二人再婚してからアツアツすぎる。
何で離婚したのよってそもそものところを疑いたくなるほどだ。
それに。
「……親父、あんなこと言うんだ」
ヘタレの癖に。
あたしにはウザイほど泣きついてくるのに。
母さんにはあんな風に言うんだ。
「愛してるって……言うかぁ? 普通」
あたしと宗司さんだって、それなりの事はしてる。
外泊はたまにしか無いけど、日帰りデートの時だって最近じゃなんだかんだと最後にはいちゃついてる訳で。
『好き』なら言う、お互いに。
だけど『愛してる』は?
それを言うのはあまりに重い気もするし。
そもそも愛してるとはどういう感情なのか、考えれば考える程分からなくなる。
どこまでいったら恋は愛になるの?
二十三歳にしてそれを真剣に悩むのはいかがなもんなの。
「……やめやめ!」
考えるのは放棄だ。
頭からシャワーをかぶって頭から追いだそう。