ショコラ SideStory
「お父さんはよくいくちゃんママにマッサージしています」
それって……おいおい。
こんな小さな子が見てるような時間にやるなよ。
「あいしてるってすてきな言葉です」
キラキラしたお目目でそう言われると、そこは素直に共感しちゃうかも。
可愛い女の子の頭を撫でて、「そうね」というと、彼女は満面の笑みを見せてくれた。
うわー素直。いいなー、可愛い。
最近の子供って生意気なのが多いけど、こんな子もいるのねぇ。
「ところで、あの、今日はショコラはおやすみですか?」
「そうね。今日は定休日なのよ」
「……そうですか」
あれ、一気にシュンとしちゃった。
困ったな。
こんだけ可愛い子は放っておけないけど?
「どうしたの?」
「いくちゃんママがおこづかいくれたんです。さくらに好きなもの買っていいよって。だからさくらは、いくちゃんママにありがとうのケーキを買おうって思ったんです」
あら。
なんて泣かす話なの。
あー、話してる内に思い出したわー。
でかい洋館に越してきたっていうアンバランスな親子だわ。
再婚したばっかりじゃなかったかな。
じゃあ、いくちゃんママってのはこの子にとっては義理母か。
こんな可愛いこと言うなんて、上手くいってるのね、きっと。