ショコラ SideStory
「おや、小さなお客だな」
「お母さんの為にケーキを買いたいんだって」
「『ショコラ』のケーキが大好きなんです。いくちゃんママはいつもさくらの為にいっしょうけんめいなので、さくらはいくちゃんママを元気づけてあげたいんです」
「ガトーショコラが好きなんですって」
瞳をキラキラさせたさくらちゃんに、親父も頬が緩んでいる。
「ふーむ。ガトーショコラねぇ。ブラウニーだと少し触感が違うからな、一から作ってやろうか?」
「それじゃあ時間がかかりすぎるでしょ。味的には近いじゃん」
「お前はホント大雑把だな」
冷たい目で親父があたしを見る。
うっさいな。余計なお世話よ。
「あ、お父さんはキウイが好きなんです」
突然、さくらちゃんがそんなことを言い出す。
「チョコのケーキなら何でもいいです。キウイが入ってれば」
「……」
桜ちゃんはにっこり。
あたしと親父は顔を見合わせて考える。
キウイとチョコケーキ。
合うのか?
ちょっと合わない気がするわよ? あたし。