ショコラ SideStory
手持ち無沙汰になった松山くんは、そこにあった雑誌を見始めた。
「これ、出来たんですね」
「ええ。今日郵送の手続きをしたから、明日にはそちらの会社にも届くと思います」
「それは楽しみ」
魅惑的に笑う。
美味しそうな顔だわ。これはもてるでしょうね。
「あの節はありがとうございました」
「いえいえ、こんな綺麗な方にインタビューされて楽しかったです」
「あら、お上手」
二人で社交辞令の応酬をしていると、隆二くんが勢い良く戻ってくる。
「ホラ、ビーフカツサンドだ」
「あれ、今日随分できるの早くない?」
「何仲良く話してんだよ」
「うわ、親父妬いてんだ。良かったじゃん、“康子さん”とヨリ戻せたんだね」
「ごほん。いや、うん、まあな」
「すげー美人じゃん。これで親父より年上?」
「やらんぞ」
「わかってます」
二人の仲良さげな会話を、コーヒーを飲みながら聞く。
彼らは、そのまま雑誌の写真についてドヤ顔がどうこう話して盛り上がっている。