ショコラ SideStory
「宗司さんの言ってることの方が正しいわ。ごめんね、キライなんて言って」
「うん。実は本気で結構落ち込んだんだけど」
「うん」
「マスターが、早くキウイ買ってきて、ケーキ持って追いかけろって」
「父さんが?」
「詩子はすねると長いから、こじれる前に一気に押してけって」
「……勝手なこと言ってるわ」
親父に見透かされてる感じが悔しい。
あんなへたれた親父だけど、あたしの事はちゃんと見ててくれてるのよね。
あんな風に泣いたいくちゃんママを見ていたら、親父の過保護も少しだけ許せる気がしてくるから不思議だ。
「詩子さん、俺のこと怒ってない?」
「怒ってないわ。宗司さんこそあたしのこと呆れてない?」
「呆れるってどうして?」
「だって」
ちょっと口ごもる。だって恥ずかしいもの。
宗司さんはヘタレで情けなくて運も無くてなんだか残念な人だけど、それでもあたしよりずっと大人だ。
「あたし、子供みたいだもん」
「詩子さんは子供なんかじゃないよ?」
「でも、感情だけで口走るわ、何でも」