ショコラ SideStory
「なんだよ。今いそがし……ああ、葉山くん」
「こんにちは。すんません、忙しそうなとこ」
「いや、大丈夫。どうした?」
「ちょっと聞いてみたいんだけど、このクッキーをケーキに乗せたりとかするのは可能?」
「いいけど、少し湿気るよ。ケーキに乗せるならチョコプレートとかのほうが無難だな」
「そうかぁ。どうしようかな」
「何ケーキ?」
「誕生日です。……仕事終わってからもう一度寄ります。夜なら暇でしょ? 相談乗ってくださいよ」
「はは、わかりましたよ」
親父との会話も朗らかだ。
あら、結構仲いいのね。
葉山さんはそのままカウンターに座り込み、ビーフカツサンドとコーヒーを頼んだ。
どうやらランチも食べていってくれるらしい。
「悪いね。今は相手できないけど」
「昼時ですもんね。頑張ってください」
親し過ぎもせず、他人行儀過ぎもせず。
二人の関係はどんなもんなんだろう。単純にお客と親しくなったレベルか。