ショコラ SideStory
*
翌日、出勤して掃除をしていると、親父が一枚の紙を差し出してきた。
「詩子、これ、二十三日に渡せるように仕上げておいてくれ」
「はい? ああ、昨日の注文?」
その紙の内容をチェックして、あたしは軽く眉根を寄せる。
「でもこれじゃ気づかないんじゃないの?」
「それでいいんだと。葉山くんも結構ロマンティストだよなぁ」
「誰かさんと違ってねぇ」
「誰のことだ?」
嫌味はどうやら通じていないらしい。まあいいや。
それよりもこの注文。どうなのこの自己満足みたいなの。
「このクッキーだけなの?」
「いや、バースデーケーキと両方頼んでいった」
「ふうん」
だったら。ちょっとくらいご要望と違っても大丈夫よね?
「分かった。あたし頑張るわ」
「うん? 初注文だからってあんまり気負うなよ?」
「わかってる、わかってる」
注文が入る前はあんなに怖気づいていたけれど、いざ入ったらなんだかやる気が出てきた。
このクッキーは、人の想いを伝えるためのクッキーだ。
だったら、やっぱりちゃんと伝わるものを作りたいじゃない?
翌日、出勤して掃除をしていると、親父が一枚の紙を差し出してきた。
「詩子、これ、二十三日に渡せるように仕上げておいてくれ」
「はい? ああ、昨日の注文?」
その紙の内容をチェックして、あたしは軽く眉根を寄せる。
「でもこれじゃ気づかないんじゃないの?」
「それでいいんだと。葉山くんも結構ロマンティストだよなぁ」
「誰かさんと違ってねぇ」
「誰のことだ?」
嫌味はどうやら通じていないらしい。まあいいや。
それよりもこの注文。どうなのこの自己満足みたいなの。
「このクッキーだけなの?」
「いや、バースデーケーキと両方頼んでいった」
「ふうん」
だったら。ちょっとくらいご要望と違っても大丈夫よね?
「分かった。あたし頑張るわ」
「うん? 初注文だからってあんまり気負うなよ?」
「わかってる、わかってる」
注文が入る前はあんなに怖気づいていたけれど、いざ入ったらなんだかやる気が出てきた。
このクッキーは、人の想いを伝えるためのクッキーだ。
だったら、やっぱりちゃんと伝わるものを作りたいじゃない?