ショコラ SideStory
「読んだ本の紹介をさせようと思ってたんだ」
「うん?」
「それで、自分が紹介したい本を持っておいでって」
もしかして、この間お客さんが言ってた漫画の話かな。
「もしかして漫画を持ってきた?」
あたしが先に言うと、宗司さんは目を丸くする。
「なんで分かる? すごいね。詩子さんエスパーみたい」
いやいや。
そんなわけ無いじゃん?
想像力無いわね。
「お客さんがポロッと漏らしてたのよ」
「ああ、そうか。それでか」
宗司さんは納得したように息を吐き出す。
「発表ってさ。アウトプットの行動でしょ」
「うん?」
「だからさ。発表するって行動を機械に喩えてみるとさ。パソコンに入力するのがインプット。印刷されるのがアウトプットなわけじゃん」
「うん」
なんか、喩えがややこしいな。
これだから先生ってシチメンドクサイのよね。
「欲しいものが印刷されなかった時、詩子さんはどこが壊れてるって思う?」
「……プリンター?」
「決めつけられないよね。パソコンが壊れてたら、データがプリンターに伝わらないから」
「じゃあどうすればいいのよ」
「だから、問題を切り分けていかなきゃいけないんだよ」
ダメだ。宗司さんの喩えでは全然分からない。
あたしが馬鹿だからなの?