ショコラ SideStory
二人がけの席に座り、お互いに無難にブレンドコーヒーを頼む。店内はコーヒーのいい匂いが漂っていて、俺としては甘いものも欲しくなる感じ。
しかし、彼女の母親にあまり甘党な姿を見せるのもなんなので、止めた。それに、ケーキだったらマスターのものが一番美味しい。
「今日は定休日なのにデートじゃないの?」
開口一番、遠慮なく突っ込んでくる辺りは流石康子さんという感じ。
「詩子さん、用事あるみたいなので」
「ふうん」
興味があるのか無いのか。サラリと流して康子さんはコーヒーを一口飲むと顔をしかめる。
「やたら苦いわね。紅茶にしたほうが良かったかな」
スティックの砂糖を二つ入れていたように思うのだけど、まだ苦いのか。
意外に感じるが、味覚は詩子さんより子供のようだ。詩子さんはブラックで平気で飲むのに。
「で。どうなの詩子とは」
「どうって……どうなんですかね」
「なによ、仲良くやってるの?」
「喧嘩とかはしませんけど。……俺って詩子さんといて釣り合っているのでしょうかね」
それまで、ニヤニヤとしていた康子さんの表情が変わって、俺は一瞬たじろぐ。
なんだ? 怒らせた?
「……どういう意味?」
「いや。なんだか自分に自信が無くなってきたというか。詩子さんは美人で前向きで、可愛くて、仕事も出来て」
「仕事はまだ半人前だと思うわよ?」
親だからか、そこは遠慮なくツッコミが入ってきた。