ショコラ SideStory


「でもやる気にはなってます。少なくとも、出会った時よりずっと。彼女の話を聞いてるとたまにプロ根性みたいなのを感じるときもあります」

「へぇ」

「俺にはそれが眩しすぎて」


正直に告げると、康子さんは一度黙って、大きな溜息をついた。


「……宗司くんは、詩子が泣いたところ見たことある?」

「泣いたところ……ですか?」


ほとんど無いけど、全くないわけじゃない。
初めての夜の時に痛くて泣かれたことはあるけど。
それを彼女の親にはちょっと言えない……。


「……ほとんど無いですね。瞳がうるむぐらいなら見たことありますけど。号泣とかは無いです」

「そう」


そう言われてみれば、詩子さんっていつも笑っているか怒っているかだな。
俺は泣き顔を見せられないほど頼りないのかな。


「俺って頼りないんですかね」

「あら、そっちにとっちゃうの?」


気持ちをそのまま伝えると、康子さんはコーヒーを煽るように飲んで立ち上がった。


「……別にあなたたちの付き合いに口を挟むつもりは無いんだけど。あんまり自分を卑下した言い方するのはやめなさい。それって詩子を卑下しているのと同じことよ?」

「え?」

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