ショコラ SideStory
意味がわからず、俺はまばたきを繰り返す。
康子さんは、クスリと笑うと手を伸ばして、俺の頭をコツンと叩いた。動作の割には痛みは大したことがなく、手加減されたことが分かる。
「なんで詩子が選んだのかあなたなのか考えてご覧なさいよ。あなたが自分を落とせば落とすほど、あなたを選んだ詩子の格が下がるって言ってんの。しっかりしなさい。もう子供じゃないでしょ」
「……康子さん」
「帰るわ。今日は隆二くんと食事する約束だから」
堂々とのろけて、彼女は席を立つ。
「あ、俺が払います」
「いいえ。年上なんだから私が払わせてもらうわ。それ飲み終わるまでしっかり考えなさいよ。じゃあね」
カツカツとヒールの音を鳴らして康子さんは去っていく。
俺はなんだかいたたまれなくて、眼の前の真っ黒なコーヒーと椅子の脇においてあるコンビニの弁当を見つめた。
考えろと言われても、何を考えればいいのか分からない。
今の会話にヒントはあったのか?
俺の彼女は眩しいくらい素敵で。
それだけに自分に自信が持てなくなる。
そう思うことのどこがおかしいのか、コーヒーを飲み切るまでじっくり考えたが、答えは出せなかった。