ショコラ SideStory
「わあ、美味しそう。ありがとう詩子さん」
嬉しそうな和美の声。
それは、いつも和美が俺がフラッペを盛りつけて出した時と変わらない歓声だ。
……そうだよな。
細かな技術の違いにこだわっているのは俺だけなんだ。
実際、和美には俺の仕上げたフラッペと詩子の仕上げたフラッペの違いなんて分からないんだろう。
「おい、マサ。ちょっと炒め過ぎじゃないか?」
「え? あ、すみません」
手元のパスタを指摘され焦る。確かに、いい感じのアルデンテが炒め過ぎたことにより柔らかくなりすぎたかもしれない。
「……作り直します」
「うん」
俺とマスターは似ている。無駄に完璧主義というのか。妥協の付け方を知らないというか。
きっとそれは、和美にも理解されない部分なのだろう。