ショコラ SideStory


 あたしの熱は、珍しく二日も続いた。

定休日以外に店を休むなんて、高校の修学旅行以来じゃないかしら。
思い返せば、あたしってあんまり病気したことないんだわ。


「……美味しい」


あたしのお昼は、真っ白なご飯と宗司さん作のお漬物。
あれから、毎日塾に出勤する前に持ってきてくれる。

他のものも作ればあるんだけど、一人だとやる気にならない。調子悪いからくどいものよりシンプルが一番だ。
親父が買ってきてくれたみかんを最後にいただこう。まだ季節柄ちょっと早いもの。高かったはずだわ。


「クッキー、……練習しなきゃなぁ」


もう三日しかない。
クッキーを焼くのは親父に頼めるとしても、アイシングは自分でしないと。

いざ起き上がってみれば大分体調は回復しているようだし、寝てばかり居るのも退屈だしやるか。

親父がマメに買い込んでいるから、粉砂糖はあったはず。
着色料は店にしかないけど、今は練習だから白でよし。

少し寒気はするのでパーカーを羽織って、準備を整える。
クッキーは家にある市販の適当なやつでいいや。

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