ショコラ SideStory
*
翌朝の開店前、出勤したあたしに、親父はきっぱりと言い切った。
「今回のアイシングの仕事は俺がやる」
「え?」
「お前は病み上がりだし、休んでろ」
正直、ホッとした部分もあった。
だけど、あたしの中の仕事に対する意識が、それでいいのかって訴えてくる。
「……でも、アイシングはあたしの仕事よ」
あたしが作るクッキーが願いを叶える。
眉唾ものみたいなジンクスだけど、それを願って来てくれる人に対して、あたしが作らないのは失礼じゃないのかしら。
「お前が作ったって俺が作ったって『ショコラ』のクッキーには違いないだろう」
「そりゃそうなんだけど」
「それ、宗司あてのクッキーなんじゃないのか。あんだけちょこちょこ会いに来てりゃ俺だって分かる」
普段厨房に籠もりきりのくせに、どうしてそういうことだけは目ざといのかしら。
「だからって、注文されたものは断れないでしょう。あたしだってプロなのよ、プライドあるの!」
思わず大声で言い返すと、珍しく親父までもが大声を出した。
「黙れ。プロだと豪語するのはお前にはまだ早い!」
「なっ」
頭に血が上った。
そりゃ、あたしはようやく最近クッキーを任されるようになったばかりよ。
パティシエと言うよりはウェイトレスが本業みたいなもんだ。
分かってる。……けど、あたしはあたしなりに必死にやっているのに。
翌朝の開店前、出勤したあたしに、親父はきっぱりと言い切った。
「今回のアイシングの仕事は俺がやる」
「え?」
「お前は病み上がりだし、休んでろ」
正直、ホッとした部分もあった。
だけど、あたしの中の仕事に対する意識が、それでいいのかって訴えてくる。
「……でも、アイシングはあたしの仕事よ」
あたしが作るクッキーが願いを叶える。
眉唾ものみたいなジンクスだけど、それを願って来てくれる人に対して、あたしが作らないのは失礼じゃないのかしら。
「お前が作ったって俺が作ったって『ショコラ』のクッキーには違いないだろう」
「そりゃそうなんだけど」
「それ、宗司あてのクッキーなんじゃないのか。あんだけちょこちょこ会いに来てりゃ俺だって分かる」
普段厨房に籠もりきりのくせに、どうしてそういうことだけは目ざといのかしら。
「だからって、注文されたものは断れないでしょう。あたしだってプロなのよ、プライドあるの!」
思わず大声で言い返すと、珍しく親父までもが大声を出した。
「黙れ。プロだと豪語するのはお前にはまだ早い!」
「なっ」
頭に血が上った。
そりゃ、あたしはようやく最近クッキーを任されるようになったばかりよ。
パティシエと言うよりはウェイトレスが本業みたいなもんだ。
分かってる。……けど、あたしはあたしなりに必死にやっているのに。