ショコラ SideStory
「宗司さんも飲みなよ」
「いいよ。送っていけなくなったら困るから」
「困んないわ」
にじり寄って、キスをする。
宗司さんをタジタジにさせるなんて簡単。
ちょっと苦いアルコールキスで、あなたはすぐに酔うんだもの。
「ん、詩子さん」
「二人きりでいたいわ、今日は」
甘えたい気分に素直に、彼に寄りかかる。
一週間に一度くらいいいでしょう?
宗司さんは私に応えるようにキスをして、抱きしめて。
そして困ったような小さな声を耳元で囁いた。
「でも。……心配するよ? マスター」
「ああ。親父ね。……そうね。でも今なら奥の手が使えるわ?」
「奥の手?」
携帯電話を取り出して、母さんの方に電話をかける。
『もしもし?』
「母さん? 詩子ですけど。今どこにいる? ショコラ? ちょうど良かった」
思惑通り。
親父を制することのできる人物は一人しかいない。
そしてその強力な人物は、あたしの頼みを断ることは無い。