ショコラ SideStory
「……しけた顔してんのね。どうしたの?」
反応の悪いあたしに気づいたのか、母さんが顔を覗きこんでくる。
普段母親っぽくない母さんに、甘える気にはならないけど。
でもこの人の女スキルは信用出来る気がする。
「男の人に結婚したいって思わせるような女って、やっぱり守ってあげたいような人?」
「あら、恋愛相談?」
「うん」
「……どうかしらね。案外結婚だったら違うかも。相手の男の人にもよるけれど、今の時代、共働きすることを考えたら、忙しくても笑っていられるような懐の深い人じゃないの?」
「なるほど?」
じゃあ、うっかり責め立ててしまうような女はダメかしら。
そうよね。
元気づけたいって思って、逆に追い込む女なんて面倒臭いことこの上ないわよね。
机に突っ伏すと、母さんが私の頭をサラリと撫でた。
「心配しなくても、アンタはいい女よ」
「どうかな。自信ない」
「あらあら。宗司くんもやるわね。アンタが自信なくすところなんて初めて見たわ」
昔から、そんなに自信があったわけじゃないわ。
ただ、出来ないことにいつまでもこだわっていても仕方ないと思っていただけよ。
母さんが、父さんと別れたいと言った時も、あたしが止めたところで聞いてなんてもらえないって思っていたから。
それなら、家事をこなせるようになったほうが効率的じゃない。