ショコラ SideStory
「……なんかよく分からないけど、アンタにはアンタの武器があるんじゃないの?」
「武器?」
「そう。……隆二くんもそうじゃない。困ったらケーキ。……再婚のきっかけってクリスマスケーキなのよ。隆二くん、あの時のケーキは私をイメージして作ってるんだって」
「へぇ」
ああだから、チョコベースが多いのか。
チョコレートみたいに甘くて苦い、母さんはそんな人だ。
年に一度のラブレターだから、毎年違うものを作るの?
「隆二くん褒めてたわよ。最近の詩子はアイシングも上手になったし、何よりやる気があるって」
「そりゃ、……願いが叶うクッキーとか言われたら、気合入れて作らなきゃ失礼じゃないの」
「まあね。でもそれは結果でしょ。アンタが作りたかったのは、願いが叶うクッキーなの?」
それはどうだろう。
アイシングをやってみないかって最初に聞かされた時は、あたしに出来るのかなって思った。
でもやってみて、凄く難しかったけどやりがいを感じた。
お店に訪れる人はカワイイって歓声をあげてくれたり、買っていった人が「ありがとう」って言ってくれたりして。
その笑顔が、あたしは何より嬉しくて。
そうね。
あたしは願いが叶うクッキーを作りたかったんじゃない。
自分の作るクッキーで、誰かを笑顔にしたかったのよ。