ショコラ SideStory
「違うわね。元気が出るクッキーを作りたかったのよ。買った人が幸せになれるような、カラフルで見ているだけでウキウキしてくるものを」
「そうでしょ。それで願いがかなったのはたまたまよ。アンタの基本はそこ。買ってくれた人のためのクッキー。
元気が出ないなら自分の為に作ってみれば?」
そうか。
もうアイシングクッキーはあたしの武器なんだ。
親父のものでも、マサのものでもない。
あたしだけの。
道が開けたような気分だ。
迷っているのならとにかくやってみよう。
あたしは、宗司さんを元気づけたい。
彼のために、クッキーをつくりたい。
「うん。作ってみる」
「少しは元気になったわね。さーて、じゃあ片付けて私はお風呂に入ろうかな」
「父さんを待ってないの?」
「待たない。書き置きしておけば勝手に食べるだろうし。共働きだからね、いちいち足並みを揃えたりはしないわ」
変なところはドライ。
母さんってホント掴めないな。
この人を惚れさせるんだから、実は親父って凄いんじゃないかしら。