ショコラ SideStory
「まずは結果出さなきゃなぁ。……でもなぁ。飛躍的に人を増やそうと思ったら受験が終わらないとムリだろうなぁ」
ポツリと宗司さんが言う。
宗司さんの塾は、小学生から中学生までを対象にしている。生徒層も、どちらかと言えば出来ない子中心だ。
よりハイレベルな学習をと思っている子は、駅前の進学塾の方へ行く。
口コミで、細々と塾生を増やしている現状では、母さんを納得させられるだけの数値は出せないかもしれない。
最初の中三生が高校合格とかすれば、多少宣伝材料にはなるだろうけど。
「……一緒にいるのに結果って必要?」
少なくとも、二人の間に必要なのは愛情だけじゃないの?
「詩子さんを悲しませたくないしね」
「別に反対されたって悲しんだりしないわ」
プイと横を向いたらクスリと笑われる。
「昨日泣いてたのに」
「……それは忘れなさいよ」
悔しい。
もうあたしがどんだけ意地張っても、宗司さんには通用しないのかも。
あたしは頬をふくらませたまま、料理を続ける彼の背中から抱きついた。
「詩子さん動けないよー」
「動かなきゃいいわ」
あたしはただ、こんな風に彼の傍にいたいだけよ。
それを母さんに反対されるのは、あたしはやっぱり納得いかない。