ショコラ SideStory
車に乗せてもらって、二十分。

着いたところは、田んぼと住宅が共存するようなのどかな風景。緩やかに上っていたのか、後ろを向くと通ってきた町並みが見下ろせた。

宗司さんの家は、二階建ての一軒家。
車が止まった途端に、玄関から人が出てきた気配がある。


「来た来た。いらっしゃい。おおーえっせぇ美人さん!」


宗司さんとよく似た顔の男の人が、あたしを見るなり目尻を細めて近寄ってきた。


「はじめまして。俺、泰司(たいじ)。宗司の兄です」

「はじめまして、相本詩子です」


車から荷物を下ろす宗司さんの後ろから頭を下げる。
お兄さんは標準語に近いな、なんて思ってホッとして笑いかけると、お兄さんの手があたしの肩に伸び、中へと連れて行こうとする。


「荷物なんか宗司に任せて入って入って」

「こら、泰司、人の嫁さんに手ぇださんが」

「だってこんな美人さん、宗司にはもったいないっしょ。詩子さん、今からでも遅くないから俺にせん?」


お兄さんと宗司さんは外見は似てるけど、中身はびっくりするほど似ていない。


「せっかくですけど。あたしは宗司さんがいいです」

「かー。おまん、どうやってこんなばか可愛い子捕まえたがよ」

「兄さん、うるさいよ」


でも、仲はいいのね。
宗司さんがいつもと違って、とってもリラックスしている。


「阿呆は放っといて中に入られんか、詩子さん」


お母さんに連れられて、家の中に入れてもらう。
お父さんとおばあさんが待ち構えていて、皆が皆「よく来なさったねぇ」と笑ってくれた。

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