ショコラ SideStory



「汚ぇけどじょんのびして」


意味はわからかなかったけど、のんびりしてってことかな。
客間にお布団を敷いてもらって、今日は泊めて貰う予定だ。

お風呂を頂き、部屋の窓からしんしんと降る雪を見つめる。

すごい勢いで降るなぁ。
道路は綺麗に路面が出ていたけれど、洗面台の脇にあった窓から見た家の裏側は雪がこんもりと積もっていた。
あたしのブーツでは絶対に入っていけないくらい。

こんな風に自然が雄大だと、焦ってもどうにもならない気がするなぁ。
宗司さんが、ゆったりした心構えでいられるのは家庭環境のせいだったのかしら。
それと、さり気なく逞しいのは、きっと雪かきで鍛えられたんだな。

色々想像しながらくつろいでいると、襖をノックする音がする。


「はい」

「詩子さん、俺、入るよ?」


宗司さんだ。

襖を少しだけ開けて顔をのぞかせて、あたしを見るとふわりと笑う。
緊張が解けて、あたしの体から力が抜けた。


「疲れたでしょ」

「ううん。宗司さんのご家族はみんな優しいね」

「どうかな。兄貴なんてうるさいしね。でも、詩子さんがあんまり綺麗だから皆驚いてたみたいだ」


宗司さんは襖を閉め、あたしの隣に座った。


「今日はありがとう。皆詩子さんのこと気に入ったみたいだ」

「……うん。ホッとした」


宗司さんの家族の顔を思い出す。
皆、ニコニコしてくれて、時々伺うような視線も感じたけど、基本優しかった。

でも、さっきも感じた後ろめたい気分も襲ってくる。
彼の家族が優しければ優しいほど、それは大きくなっていった。

あたしは布団の端を握りしめながら、重たい気分を吐き出すように言った。

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