ショコラ SideStory
「ごめんね、宗司さん」
「どうして?」
「宗司さんのご家族はこんなにあたしを優しく迎えてくれたのに。……母さんは、あんなふうで」
賛成してくれない母さん。
それが、あたしには重たくて苦しい。
歓迎してもらえて嬉しいだけに、じゃあ、反対された宗司さんの気持ちはって考えたら胸が苦しい。
俯いたあたしの背中を、宗司さんはポンポンと叩く。
「康子さんは、本気で反対してるわけじゃないかもよ?」
「なんで? あんなにはっきり言ってたじゃん」
「だって、昔俺が落ち込んでる時、励ましてくれたのは康子さんだったし」
は?
聞いてないわよそんな話。
「夏頃ね。俺、ちょっと自信を無くした時期があって。康子さんに活を入れてもらったことがあるんだ。俺が自分を貶すのは詩子さんを貶めるのと一緒だって」
「母さんがそんなことを?」
「うん。だからね、俺のことも嫌ってるわけじゃないって分かるんだ。……康子さんは意味なく反対したりしないと思う。俺達も、やっぱりもっと努力が必要なんだよ。
帰ったらさ、もう一度二人で話しに行こう。俺、また仕事の計画見直してみたんだよね。マーケティングの本も読んで、宣伝方法とかちょっと変えてみたんだ。前のよりは現実味あるから、これ持って何度でも話をしに行こうよ」
「でも、……またダメだって言われたら?」
「また練り直せばいいよ。康子さんは社会人としては先輩だからね。彼女が納得しないってことはどこかにやっぱり甘さがあるんだろうし」
「……でも、それって宗司さん苦しくないの」
じわりとまぶたが熱くなってくる。
やだな、宗司さんの前で泣くのとか最悪だ。
あたしはいつだって、元気でいたいのに。
宗司さんはふわりと笑ってあたしの目尻を拭いた。
「全然? 俺は詩子さんに心から喜んで欲しいから。こんなのなんてこと無いよ」
「……お人好しだわ」
でも、そういうところが大好き。
あたしは飛びつくようにして彼に抱きついた。
優しくあたしの背中を撫でる彼を、とても頼もしく感じながら。