ショコラ SideStory

「俺、詩子さんとは真剣にお付き合いしてます。いずれは結婚だって考えてます。
ただ、俺にまだ、彼女を迎えるだけの力が無くて」

「そうだな」


ハッキリ言うなぁ。
優しさはどこに行ったの?


「だから、本当はめどがつくまでこんな風に彼女を連れ回すのは良くないって、……分かってはいるんですけど」


いやいや。昭和じゃないんだから。

年頃の娘が彼氏の部屋に止まったっていいでしょ。別にお互い本気なんだし。
大事なのは避妊とかそういうことじゃん。


「じゃあ、夜の内にちゃんと帰せ」

「はい。でも。……俺無理なんです」

「は?」


何がよ。

あたしも親父も、宗司さんの次の言葉を待ち構える。


「詩子さんが傍にいると、俺、我慢とか理性とかどっか行っちゃって。マスターが怒ってるとか他にもいろんなことが脳内を駆け巡りはするんですけど。……一緒にいたいが優先になるんです」


……ホントにこの人は、ヘタレだなぁ。
情けなくて、でも正直で。
なんであたしはこんな姿にキュンとしちゃうのかしら。
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