ショコラ SideStory
親父は、痛いものでも見るように宗司さんを眺めると溜息をついた。
呆れてる?
いや、頼むから馬鹿にしないで?
あたしはこんな宗司さんが好きなんだもん。
懇願するように親父を見ていたら、予想外の一言がその口から飛び出してきた。
「……分かる」
「はぁ?」
思わず声を上げてしまったのはあたし。
「情けないが分かるぞ。俺も康子さんに対してそうだった。いや、今もそうだ。近くにいられるだけでこうムラムラするというか」
おいおいおいおい。
生々しいのはそっちじゃないのよ。
「そうなんですよ。凄い力で惹きつけられるというか」
「理性崩壊するんだよな。分かるぞ」
……この男二人は、馬鹿すぎる。
あたしを前にして、なんてことを語り合うのよ。
「だったら早く塾が軌道に乗るように何とかしろ。俺だってお前のことはそんなに嫌ってはいない」
「ホントですか、マスター」
「ああ。だが、詩子を適当な男にやるつもりはない。お前の根性見せてみろ!」
「はい!」
しかもスポ根風の空気になったわー!
もうホント訳分かんない。