ショコラ SideStory
「えっと、あの……」
何と言って口を挟んだらいいのか分からず困っていたら、香坂さんが気づいて咳払いをした。
「綺夏、この話は後にしよう。今日はプチギフトの話だったろ」
「そうでした。……すみません。ほら、詩子ちゃんが試作品を作ってくれたんです」
森宮さんがサンプルを香坂さんに向け、香坂さんは彼女の隣に腰掛ける。
あたしは珈琲を出しつつ、彼の反応を伺った。
香坂さんは親父の先輩である料理人で、デザートだって一級品を作る。そんな彼のお眼鏡に適うものをあたしは作れているの?
「……これ、詩子ちゃんが作ったの?」
「はい」
「へぇ、随分練習したでしょ。昔すっごい不器用だって、相本がよく嘆いていたけど、立派なもんじゃん」
思わず親父を睨むと、あからさまに体をビクつかせた。
ふん、陰で人の悪口言ってるんじゃないわよ。
「……でも、これじゃあ、ファンシーすぎるかな」
クッキーを指先で持ち上げ、じっくり見分した後でポツリと香坂さんが落とした言葉は、否定的なものだった。
「ダメですか?」
「招待客の殆どは親戚で、六十オーバーばっかりだ。俺なんかは友人だっておっさんって言われる歳だし。その人達に渡すには、あまりにも可愛らしすぎるかなぁ」
「あ……」
そうか、年齢か。
つい自分だったら、という気持ちで考えていたけど、あたしとでは年齢層が違う。
森宮さんだって三十代だから、きっとお友達もそのくらいの年代だ。香坂さんとなれば、更にもう一世代上って感覚を持たなきゃいけなかったんだ。