ショコラ SideStory


「……すみません。考えが足りませんでした」


可愛らしいピンクってイメージは多分ちょっと違う。全体に、少しおとなしめに考えたほうがいいのかもしれないな。


「やだ。いいのよ、詩子ちゃん。食べ物だもの。ずっととっておくものじゃなし、可愛いのいいじゃない。元気が出るわ」


森宮さんがそう言って励ましてくれるけど、あたしとしては香坂さんの不満も理解できる。

それに、親父のツテとは言え、わざわざ料理人である彼がうちに頼もうと思ってくれたなら、満足してもらえるものを作らないと。


「いいえ。希望を教えて下さい。金額と、どんなイメージのものがいいか。それでまた試作品を作ります。その時に判断してもらえませんか?」

「でもこれといった希望なんて、……ねぇ」


森宮さんが香坂さんを仰ぐと、彼は落ち着いた顔で言った。


「プチギフトってのは感謝を伝えるものだと俺は考えてる。幸せのおすそ分けというか、来てくれた人へのありがとうが伝わるものがいいな」

「文字入れとかしたほうがいいですか?」

「そこは任せるよ。でもあまりにもストレートでも味気ない。そう思わない?」

「……はい」


香坂さんがあたしを窺うように笑う。

なんか、試されているな、これは。
客の希望をどこまで自分で吸収できるか。

この人は仕事にかけては厳しい人だと、親父に聞いたことがある。
手とり足とり教えるんじゃなく、考えさせようとする、って。
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