ショコラ SideStory
「分かりました。森宮さんはどんなイメージですか?」
「私は……。まあそうね。同じ……かなぁ」
こちらは逆に歯切れが悪い。
本当に香坂さんと同じなの?
どう見ても納得していそうには見えない。口にしてない本音がありそうなんだけど。
お花のクッキーは凄く喜んでくれてた。ってことはやっぱり、森宮さんは可愛いのが好きなんじゃないのかなぁ。
「予算内で出来るものを数パターン考えてみます。三日後以降にまた来られる日ってありますか?」
「えっと、俺が昼番になるのって一週間後だな」
「だったら私が合わせます。来週の同じ時間に」
「お手間すみません。必ず気にいるようなものを考えます」
「私はこれでもいいけどなぁ」
お花のクッキーを手にとった森宮さんに、「それは今召し上がって下さい」と笑いかけ、あたしは珈琲のおかわりを入れる。
パリ、とクッキーの割れる音、味は自信あるのよ。もう何度も作っているし、親父のレシピ自体がいいから。
「凄く美味しいわよ」と笑ってくれる森宮さん。いつもなら嬉しいだけの反応も、ちょっとだけ遠く感じてしまう。
今のあたしに求められているのは、味じゃなくて、これじゃなきゃダメだと思わせるクッキーのデザインを作ることだ。