ショコラ SideStory


「大丈夫なの? あの二人」


小声で親父に尋ねると、「森宮さんが反論するようになっただけ進歩じゃないかな」とさらりと言われてしまう。
親父がそういうくらいなら、これくらい日常茶飯事なのかなぁ。


「ほら、これ出してやって」


出来上がったケーキのお皿を持って店に出ると、二人の間には気まずい空気が流れてる。


「お待たせしました、どうぞ」

「ありがとう、詩子ちゃん」


二人揃って返事をして、再び黙りこむ。
どこか気まずい空気は、あたしにもひしひしと伝わってきて、会話に凄く気を使っちゃう。
きっついわ、この空気。結婚式前の恋人同士って、いつでも幸せってわけじゃないのねぇ。


「森宮さん、ドレスは何色なんですか?」

「ああ。シャンパンカラーっていうのかしら、少し茶色がかった白よ。真っ白はやっぱ若いかなって思っちゃって。お色直しは白とグリーンのバイカラーのちょっと変わったやつなんだけど」

「へぇ。見てみたい。写真とか撮らなかったんですか?」

「撮ったわよー、見る? あ、でも隆二さんは当日のお楽しみにしてくださいね。詩子ちゃんだけ」


客席に周り、森宮さんのスマホで撮った衣装決めの時の写真を見せてもらう。

シャンパンカラーのAラインのドレスがよく似合っている。肩を出した大人っぽいデザインだけど、ベールが二の腕あたりまで降りているのであまり露出している感じには見えない。

お色直しの衣装も、一風変わったデザインだ。

若草色と白の生地が縦に大きくラインを描くように交互に縫われたふわりとした形のドレスで、同色のリボンが腰の辺りで大きく結われている。裾は後ろに向かって大きく広がり、森の中に日差しが広がるようなイメージが湧く不思議なドレス。ちょっと落ち着き過ぎな気がしないでもないけど、これはこれで似合っていた。
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