ショコラ SideStory
作るのは親父に任せて、【夕飯はパスタ。店から持って帰るから早く着きそうなら店に来て】と母さんにメールを入れる。
カランと店の扉が開いた音がしたので、慌てて振り返ると、顔を出したのは宗司さんだ。
「詩子さん、まだ居たんだ」
「うん。ほら、昨日話したでしょ。クッキーの打ち合わせしてたの。宗司さんも今終わり? お疲れ様」
目ざとく声を聞きつけた親父が厨房から顔をだす。
「宗司、夕飯食ってないんだろ。一緒に食うか?」
「いいんですか。助かります」
そんなわけで、店での夕飯タイムになったあたしたち。
親父、あたし、宗司さんの順にカウンターに並び、出来上がったパスタと簡単なサラダでの夕食を頂く。
半分くらい食べたころ、「ところで」と宗司さんが口を開いた。
「お店の近くで揉めてる二人組を見たんだけど、なにかあった?」
「どんな人?」
「男性と女性の二人組で、どちらも背が高かったかな。女性のほうがビジネスコートで、男性の方はダウンコート。式がどうこうって聞こえていたから、もしかして打ち合わせのお客さんかなって」
聞けば聞くほど、それは香坂さんと森宮さんっぽい。
「店を出てから、喧嘩になっちゃったのかしら」
森宮さんの不満気な様子を思い出して、あたしはなんだか妙に不安になった。