ショコラ SideStory
*
そして一週間後。
今日は先にふたりで待ち合わせしたらしく、森宮さんと香坂さんは揃って『ショコラ』にやってきた。
「お待ちしておりました」
あたしはにこやかに迎え入れ、珈琲を入れる。
「どう? いいの思いついた?」
試すような表情で、香坂さんが笑う。
嫌なおっさんね。でもまあいいわよ、受けて立とうじゃないの。
あたしは負けじと営業スマイルを浮かべて、今日の午後から作っていた試作品を出した。
「……わ、かわいい」
森宮さんから、小さく漏れた言葉に、よし、つかみはオッケーと背中を押された気分になる。
あたしが作ったクッキーは、葉を白と若草色で交互に彩どった四葉のクローバーと、黄色と茶色のシマシマのミツバチだ。
「感謝の気持ちを伝えたいということだったので、形はラッキーモチーフから選びました。ラッキーモチーフは持っている人に幸せを呼び込むといわれていますので、香坂さんの希望に添うのではないかと思いました。その中でも四つ葉のクローバーは葉一枚一枚に意味があります。名声、富、満ち足りた愛、素晴らしい健康。様々な年代の参列者の方に贈るにはふさわしいかと思っています。ただ、白と若草色だけでは色味が寂しいので、もう一つのクッキーをミツバチにしました。こちらは繁栄と幸せのシンボルだと言われています」
「へぇ。ミツバチにそんな意味があるんだ」
「女王バチを中心として大きな家族をつくるかららしいです」
そこまで言ったら、静観していた親父がぶっと吹き出した。
「なに? 父さん。失礼よ」
「悪い悪い。いいじゃないか、ミツバチ。そういう家庭を作ったほうが、うまくいきますよ、香坂さん」
「……尻にしかれろってことかよ」
憮然とした顔で香坂さんはつぶやく。
あらら、そうとっちゃうの。そこまでの意味は考えてなかったんだけどな。
そして一週間後。
今日は先にふたりで待ち合わせしたらしく、森宮さんと香坂さんは揃って『ショコラ』にやってきた。
「お待ちしておりました」
あたしはにこやかに迎え入れ、珈琲を入れる。
「どう? いいの思いついた?」
試すような表情で、香坂さんが笑う。
嫌なおっさんね。でもまあいいわよ、受けて立とうじゃないの。
あたしは負けじと営業スマイルを浮かべて、今日の午後から作っていた試作品を出した。
「……わ、かわいい」
森宮さんから、小さく漏れた言葉に、よし、つかみはオッケーと背中を押された気分になる。
あたしが作ったクッキーは、葉を白と若草色で交互に彩どった四葉のクローバーと、黄色と茶色のシマシマのミツバチだ。
「感謝の気持ちを伝えたいということだったので、形はラッキーモチーフから選びました。ラッキーモチーフは持っている人に幸せを呼び込むといわれていますので、香坂さんの希望に添うのではないかと思いました。その中でも四つ葉のクローバーは葉一枚一枚に意味があります。名声、富、満ち足りた愛、素晴らしい健康。様々な年代の参列者の方に贈るにはふさわしいかと思っています。ただ、白と若草色だけでは色味が寂しいので、もう一つのクッキーをミツバチにしました。こちらは繁栄と幸せのシンボルだと言われています」
「へぇ。ミツバチにそんな意味があるんだ」
「女王バチを中心として大きな家族をつくるかららしいです」
そこまで言ったら、静観していた親父がぶっと吹き出した。
「なに? 父さん。失礼よ」
「悪い悪い。いいじゃないか、ミツバチ。そういう家庭を作ったほうが、うまくいきますよ、香坂さん」
「……尻にしかれろってことかよ」
憮然とした顔で香坂さんはつぶやく。
あらら、そうとっちゃうの。そこまでの意味は考えてなかったんだけどな。