ショコラ SideStory
「まあいいわ。で、なんで急に勇気出したの?」
「詩子ちゃんのお陰です」
「詩子?」
「詩子ちゃんに作ったもらったクッキーにちょっと勇気もらったんです。言う前に我慢するんじゃなくて、伝えてみるのが大事かなって」
そこで初めて、あのクッキーに決定するまでの話の顛末を聞いた。
なるほど、“私のものになって”ね。
「そうね。森宮ちゃんは遠慮が過ぎるのよ。特にあんなマイペースな男を相手にするんだから、少し図々しいくらいの方がいいわよ」
「はい」
自然に顔が笑ってしまう。
詩子。あんたのクッキー、ちゃんと役に立ってるじゃない。
「お礼言っておいてくださいね。詩子ちゃんがキューピットです」
そういう森宮ちゃんはとても幸せそうで、やっぱり今日の主役という感じ。
「なるほど、キューピットね」
確かにそうかもしれない。
私と隆二くんをつないでくれたのも詩子だしね。
あの子の周りには、なぜだかいつも人が集まるし、一緒にいると楽しい。
あの子には、人を幸せにする才能があるのかもしれない。
じゃあ、あの子の幸せは?
そう思って浮かんだのは、長野に行くという話を決断した時の詩子の顔。
それはきっと、これから見つけに行くのね。
父親のそばで働くのも宗司くんに愛されているのもそれはそれで幸せなんだろうけど、やっぱり自分の力を信じてみたいと思いはあるんだろう。
もしかしたら無くすものもあるかもしれない。それでも、その選択を間違いだなんて誰にも言えないだろう。
大丈夫よ。私の娘だもの。
どんな結果も、きっと自分の力にできるはずだわ。