ショコラ SideStory

時計を見れば、まだ二十時。
声が聞きたいけど、宗司さんは仕事中だ。


「……家の中探検しようかな。そして、お風呂に入って、明日からは仕事なんだから色々準備しなきゃ……」


やることはたくさんある。なのに、ねぇ、やる気が起きないってどうしてだと思う?

しばらくぼうっとして、でもこれじゃいけないと立ち上がる。
とりあえず、この家を任されたからには、戸締りの確認とかもしなきゃ。

二階は一部屋しかないので、一階に降り、窓の施錠を確認する。

一階には、お店と厨房、小さな居間とお風呂とトイレがある。
居間はおそらくリフォーム時に狭められたんだろう。隣り合う厨房のスペースが広いから、きっとこっちに場所を取られたんだ。


「そういえば明日の朝ごはんどうしよ」


厨房にある冷蔵庫を確認する。

雪音さんがお昼をここで食べるからか、お菓子の材料に混ざって、一通りの調味料がある。
どういうふうに使い分けるかもこれから相談かな。
とりあえず、少し必要なものくらいそろえようか。


「えっと、近くのコンビニは……」


携帯で検索してみて、あり得ないことに気づいた。

コンビニが遠い。歩いたら三十分はかかりそう。これならバスに乗らないとと思うけど、そのバスももうこの時間には走ってない。


「車がいるのか……」


うっかりしていた。
あたしは一応、免許は持っているけど、あっちにいたときはほとんど運転なんてしていなかったから、完全なるペーパードライバーなんだけど。

でも、とりあえずしつこく免許はとっておけと言った親父には感謝しよう。


「これも、雪音さんと相談しないと」


今日は買い物は諦め、明日の朝もあるものでしのぐことにしよう。
飲み物が欲しいと思っていたけど水で我慢だ。
幸い、ここでは水道水が飲めるし、しかもおいしい。


しっかり戸締りをしてシャワーを浴びてから部屋に戻る。

まだ他人行儀な部屋に、落着きよりは戸惑いを感じながら、それでもここしか居場所がないのでベッドの上に座る。

一年後、ここを離れる頃には、愛着を感じるようになっているんだろうか。



< 399 / 432 >

この作品をシェア

pagetop