ショコラ SideStory
『疲れてるんだよ。気も張ってただろうし。また明日、電話するから』
「でも」
でもまだ、宗司さんの話を聞いていない。
あたしばかりまくしたててしまったけど、宗司さんだってこれから高校受験する子たちを抱えて、いろいろ不安もあるはずなのに。
『俺もこれから夕飯だし……ね』
「そっか。分かった。おやすみなさい」
そういったのは、あたしに電話を切らせるための方便だろう。
優しい人だなぁと思いながら、あたしはそのまま意識を飛ばした。
結局朝まで起きることはなく、さっそく電気をつけっぱなしにしたことに、軽く落ち込んでみたりした。
*
朝一番で、雪音さんに車のことを相談すると、あっけらかんと答えが返ってくる。
「そうよね、買い物とかに不便だもんね。しばらく車貸してあげようか。出産後は兼用になるけど」
「いいんですか?」
「一年だけのために買えないでしょ。その代わりガソリン代は折半だからね」
「助かります」
一年、というのがいい免罪符になるのか、雪音さんは何でもあたしと共有してくれる。
「どうせ、お腹つかえてしばらく乗れてないしさ。今度玲央に言って、こっち持ってきてもらっとく」
「玲央さんはいいんですか?」
「玲央は玲央で車持ってるもん。この辺りでは一人に一台で普通よ?」
そういうもんか。
うちは誰一人として持っていないっていうのに。