ショコラ SideStory

『疲れてるんだよ。気も張ってただろうし。また明日、電話するから』

「でも」


でもまだ、宗司さんの話を聞いていない。
あたしばかりまくしたててしまったけど、宗司さんだってこれから高校受験する子たちを抱えて、いろいろ不安もあるはずなのに。


『俺もこれから夕飯だし……ね』

「そっか。分かった。おやすみなさい」


そういったのは、あたしに電話を切らせるための方便だろう。
優しい人だなぁと思いながら、あたしはそのまま意識を飛ばした。

結局朝まで起きることはなく、さっそく電気をつけっぱなしにしたことに、軽く落ち込んでみたりした。





 朝一番で、雪音さんに車のことを相談すると、あっけらかんと答えが返ってくる。


「そうよね、買い物とかに不便だもんね。しばらく車貸してあげようか。出産後は兼用になるけど」

「いいんですか?」

「一年だけのために買えないでしょ。その代わりガソリン代は折半だからね」

「助かります」


 一年、というのがいい免罪符になるのか、雪音さんは何でもあたしと共有してくれる。


「どうせ、お腹つかえてしばらく乗れてないしさ。今度玲央に言って、こっち持ってきてもらっとく」

「玲央さんはいいんですか?」

「玲央は玲央で車持ってるもん。この辺りでは一人に一台で普通よ?」


そういうもんか。
うちは誰一人として持っていないっていうのに。


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