ショコラ SideStory


 こっちに来て一ヶ月半経った。

その間、あたしたちは一度も会えていない。

三月はあたしが仕事を覚えるのに忙しく、四月のはじめは宗司さんが新体制を整えるのに忙しかったのだ。
あまり聞けなかったけど、新しい講師の先生を雇ったとか、生徒数が十人くらい増えたとか、割といい話が多かったように思う。

思えば、今まであたしたちがあんなに会えていたのは仕事場所が上下だったからというのと、わざわざ定休日を合わせていたからであって、普通は近くにいてもきっとこうなのよね。
まして遠距離になったら、連休でも取らないと会いに行くのは難しい。

ゴールデンウィークなら会えるかなぁ。
というか、そろそろ会わないとあたしがおかしくなってしまいそうだ。


「連休? ごめんね、ゴールデンウィークは結婚式のギフト依頼でいっぱいだわ。むしろ今時期の方がいいかな。平日でよければ三日くらい行ってもいいわよ」


雪音さんに相談すると、そんなことを言われた。
宗司さんの塾は水曜日が休みだから、逆にこっちだって平日の方が好都合だ。


「出産したらしばらく任せることになっちゃうから、行ってらっしゃいよ」

「ええー、でも。詩子ちゃんいないと心配だなぁ、俺」


心配性の玲央さんは、あたしがいたほうが雪音さんが無理をしないのでいいらしい。

休みの日も、「ふたりだと雪音が言うこときいてくれないから」とあたしまで誘っていろんなところに連れて行ってくれる。

あたしは土地勘もないからありがたいっちゃありがたいんだけど、一番話すのが玲央さんだからか、自然に会話がのろけになるのがちょっと面倒くさい。
ホントに、女の子を相手にしている気分になってしまう。
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