ショコラ SideStory


「どうして手紙?」

『夜は詩子さんの話聞いてるだけで時間過ぎちゃうし。俺も話ベタだから手紙の方が色々書けるし』

「でもあたし、返事なんてかけないわ」


話ならいくらでもできるけど、便せん三枚にわたるような手紙は、きっと無理。
愛情たっぷりの手紙はとてもうれしかったけれど、あたしは同じくらいのものを返せない。

ちょっと困って言ったら、宗司さんはさらりと答えた。


『詩子さんはこうやって電話くれるからいいんだよ。俺は手紙で、詩子さんは電話。お互い向いているやり方で話した方が、伝わると思わない?』


受け取るだけになる手紙。
それでもいいとあなたは言うの?


「宗司さん、あたし」

『方法が違っても、いいんだよ。大事なのは、思ってることを伝え合うことなんだし。これが俺たちの往復書簡』


教師には珍しいかもしれない、形にこだわらないその柔軟さ。
宗司さんのいいところって、それだと思う。

あたし、多分、大丈夫だ。
彼のことなら、離れていても信じていられる。

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