ショコラ SideStory

彼が、恥ずかしがる原因は、部屋に入ったときに判明した。
ゴミ箱にあふれるほどのくしゃくしゃになった便せんがはいっていて。
零れ落ちていたそれを拾って見てみると、何度も書き直した形跡がある。

しかも、私のところに来た手紙よりももっとすごいことが書いてあった。愛してるとか、抱きしめたいとか、むしろあたしよりがっついてんじゃないのってくらいに。


「これ、次の手紙だった?」


宗司さんが目のあたりを両手で抑えたまま頷く。
その仕草、玲央さんにちょっと似てるなって思ったら面白くなってきた。
オーナーの旦那様でもある彼には言えないけど、宗司さんなら突っ込める。


「その仕草、カマっぽいよ」

「だって、これ見られたのはかなり恥ずかしい」

「今更照れなくても」

「暴走しちゃって、出せずににいたんだ、二通目」


だってまだ数日しかたってないもの。
何日にいっぺんくれる気だったんだろう。


「でも会えたからいいや」


宗司さんの手が伸びてくる。肩に触れたと思った瞬間一気に引き寄せられて、彼の胸に押し付けられた。一言も漏らせないうちに、唇めがけてキスの雨が降る。


「ごめん、余裕なんて持てないや」

「がっついてる?」

「うん」

「大丈夫。あたしもだから」


シャワーなんて浴びる暇も勿体ない。

その夜、まるで獣かってくらいにあたしと宗司さんはむさぼりあった。
彼が欲しい、一分たりとも待ちたくないという、浅ましいほどの激情があたしを竜巻みたいに包み込んで、うわごとのように「愛してる」をつぶやいた。
彼と溶け合うことができるんじゃないかと思った。

そして明け方、母さんたちもこんなふうに愛し合ったのかな、とぼんやり考えた。
そうしてできたのがあたしだというなら、あたしって結構価値があるのかもしれない。


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