ショコラ SideStory

結局、閉店間際に母さんが来て、この日はあたしは家族そろって家に帰った。


「どうなんだ、仕事は」

「ああ、うん。まあね」


親父の問いかけに、あいまいに返事をする。

まだ途中だから聞かないでっていうのが本音だ。職業人としての親父はあたしにとってはまだすごく上にいる存在で、追いつくめどがつくまで突っ込まれたくない。


「そんな話いいわよ。詩子。飲みましょ」

「あ、うん」


母さんに誘われて、ほっとしたりして。


「これ、お土産の日本酒」

「お、いいわねー。隆二くん、おつまみ作ってよ」

「はいはい」


お猪口にお酒を注いだら、小さくウィンクされた。
どうやらいろいろ見透かされているみたい。


「いいわね。詩子と呑むの、私好きよ」

「私も」


いつもは甘いものばかりを作る親父が作ってくれたおつまみは、春巻きにチーズを巻いたものだった。


「これってワインのつまみじゃない?」


今日のお酒は日本酒なんだけどな、と憎まれ口をたたきつつ、でも食べてみればおいしくて。

思わず顔をほころばせたところで、したり顔の親父と目が合って、あたしは悔しくなってそっぽを向いた。


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