ショコラ SideStory
夕方には戻ってきて、宗司さんの部屋に向かった。
今日は泊まりますと宣言してあるし、もう親がガミガミ言う歳でもない。
念願のお漬物を頂いて気持ちよくお酒を飲みながら、やっぱり話すのはあたしばかりで、宗司さんはニコニコしながら相槌を入れるだけ。
この人のどこに、あんなに言葉が眠っていたのかしら。
手紙をもらったことで、今まで気づかなかった彼の思いの強さを知って、なんだか前よりドキドキする。
「あれ、詩子さん寝ちゃったの?」
宗司さんが、トイレに行っている間に、あたしは歩き疲れのせいかうとうとしてしまっていた。
意識はあるのよ?
ただ、体がうまく動いてくれないだけ。
「先にシャワー浴びさせてあげればよかったなぁ。起こさないと化粧したまま寝たって騒ぎそうだけど」
そうね。起こしていただきたい。
汗もかいたし、このままベッドに行くにはちょっとなぁ。
「ん……」
でも何か言おうと思ってもちゃんと言葉にならない。もしかしてあたし、酔ってもいるのかな、なんて今頃思う。
「……でも、起こせないよなぁ」
きっと今、宗司さん、優しい顔で笑ってる。
声だけでそれが分かった。
遠距離恋愛は寂しいけれど、少しだけよかったなって思うこともある。
気づかわしげにそっと落とされるキスにどれほど愛情が込められているか、きっとずっと近くにいたままでは気づかなかったもの。