ショコラ SideStory


「詩子の夕飯はいいのかしら」


今更ながらの心配か。
きっと二人の間では話はついているんだろう。

二人暮らしの長い隆二くんと詩子の間には、暗黙のルールみたいなものがある。

これから一緒に住むのに私はちゃんとそれに馴染んでいけるのかしら。
家族とはいえ8年弱一緒には暮らしていない訳で、そこらへんが心配にもなる。


やがて、バタバタと騒がしい音を立ててやってきたのは隆二くん。


「康子さん、お待たせ。出かける準備は出来てる?」


エプロン姿じゃない隆二くんはちょっと別人に見える。
普段からかしこまった格好はしない職業だから、ダークブラウンのワイシャツにジーンズといったラフな服装だ。


「出来てるわよ。一体どこに行く気?」

「内緒。ほら行くよ」


珍しく強引に私の手を引いて、先を歩いていく。

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