だってキミが好きだった
「……」
マスターの言葉に、私は目を伏せ顔を俯かせる。
そしてまた顔を上げた。
顔を上げて目に入ったのは、風によってサラリと揺れる白い髪が混じったマスターの髪。
あぁ、開けっ放しはダメだよね。
閉めないと。
OASISの中へ入り、スッと取っ手から手を離せば自然とドアが閉まっていく。
それを確認した後もう一度マスターを見てみれば、さっきの言ったことに対してだろう。
悲しそうに、微笑んでいた。
その顔は……見たくなかったな。
そう思いながら止めていた足をゆっくりと動かす。
カウンター席にスッと座れば、マスターは今度は悲しそうにではなく、また優しそうに微笑んだ。
「マスター、いつものありますか?」
千歳さんは来てないみたいだし……何か飲んでおこう。
折角、だし。
「用意してあるよ。そろそろ来る頃だと思ってたからね」
「ありがとうございます」
どうぞ、と言って私の前に出されたのは黄色の飲み物。
私が一番大好きな、ミルクセーキ。
「……懐かしいですね」
「ははっ、確かにね。ちゃんと甘いやつにしておいたよ」
「ありがとうございます」