だってキミが好きだった
「千早くん!」
「千早くーん!」
彼は、今でも人気者だ。
私と付き合ってたときも、人気者だったけど。
でも彼は、どんなに人気者でも絶対に、絶対に…、
『菫』
……私を、離しはしなかった。
いつも、私のところにいてくれた。
いつも、私の名前を呼んでくれた。
それなのに……、
「何」
……もう彼は、私の名前を呼んではくれない。
分かってる。彼は記憶が無いんだから。
それに、記憶を思い出して欲しいとも……思わない。
彼のことは考えないようにすればいい。
分かってるはずだ。
それなのに、何でなんだろう。
――この虚無感がするのは、何でなんだろう。