花蓮【完結】

昔からそうだった。



昔からあたしの家には男がいて。

母親は女の匂いをぷんぷんさせて。




あたしはそれを見る度に虫酸が走った。

気持ち悪い。





男が信用出来ない、好きになれないのはこの所為ってのもあるかもしれない。





ぴたりと、音がなくなり、暫くして玄関の扉の開く音が聞こえた。



あー男帰ったな、こりゃ。





ドタドタと階段をうるさく駆け上がる音がする。

と、同時に扉が開きその声の主が現れた。






「なんなのよ!私のすることに不満があるなら出て行きなさいよ!」


「あー?!てめーこそ、いい年こいたおばさんが昼間っから男といちゃついてんじゃねえよ!」


「母親に向かってそんな口のきき方!」


「あんたを母親だなんて思ってねえ!行くぞ、佐緒里」


「あっ、うん」





きーきー後ろで声がする。


あたしは一発壁を殴ってから玄関を乱暴に飛び出した。

佐緒里は黙って着いてくる。

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