花蓮【完結】
「東矢くーん、隣座らせて」


「あ、はい」





素直にどいてしまう東矢が少し恨めしい。

どかなくていいわ。


椅子との距離がちょうどよかったのに。畜生。





「あ、信司カップルは好き勝手やっといて。俺、麻美ちゃんと話すから」



しっしっと、手でやると哲は完璧あたしの方に体を向けた。





「…哲のこんなん初めて見た」


「私もこないだと全然違うから驚いてる」




佐緒里と信司カップルは、独り言のように呟く。

東矢は王様椅子に座って、呆れたようにあたしと哲の顔を見ている。



もう、勝手にやってくれってのはこっちでしょうね、最早。







…帰りたい。








にこにこあたしを見つめる哲の視線が痛い。


哲の方を向けない。


何で何もしゃべらないんだ。





耐え切れずちらっと哲を見るが、相変わらずにこにこ笑っているだけ。







………………帰りたい。
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